この記事を読んでいるのは、デイサービスのお仕事に興味のある言語聴覚士(ST)かと思います。
こんな疑問や不安を感じていませんか?
「デイサービスに言語聴覚士(ST)って必要?」
「デイサービスでの言語聴覚士(ST)の仕事内容は?」
「病院より楽?」
「人間関係はどう?」
私も言語聴覚士であり、デイサービスで働いていた経験があります。
結論から言うと、デイサービスで働く言語聴覚士は稀少であり重宝されます。しかし、職場選びを失敗すると単なる「何でも屋さん」になりやすいので注意が必要です。
この記事では、実際にデイサービスで働いた経験から、デイサービスでのSTの仕事内容やリアルな体験談、どんな人が向いているか、失敗しないコツをお伝えしていきます。
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デイサービスでの言語聴覚士(ST)の仕事内容・役割
一般的なデイサービスでは、「機能訓練指導員」として言語聴覚士(ST)・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・柔道整復師・あん摩マッサージ師・看護師などが勤務することが出来ます。
デイサービス(通所介護)とは?
要介護認定を受けた方が、通いで介護サービスを受けられる施設のことです。
- 看護師による健康状態のチェック
- リハビリテーション
- 食事、入浴、排泄などの介助を受ける
- 趣味活動やレクリエーションを行う
これらを通して社会的孤立感の解消や認知症予防、身体機能の維持・向上を図ることで、心身の健康の維持を目指していきます。
デイサービスでの言語聴覚士(ST)の仕事内容・役割
1.摂食嚥下機能の評価・訓練
- 利用者の嚥下状態の観察
- 嚥下に不安がある利用者への嚥下訓練の実施
- 誤嚥を予防する食事姿勢の設定
- 食形態(粥やミキサー食など)の設定、水分のとろみの調整
2.言語機能の評価・訓練
- 失語症や音声障害がある利用者への言語訓練の実施
- コミュニケーション能力の維持・向上を目指し他者交流を促す
- コミュニケーション手段の確立
3.家族・介護職への指導・助言
- 自宅での食事形態や食事介助方法、コミュニケーション方法などの指導・助言
- 介護職へ、食事介助方法や注意点などのアドバイス
- 誤嚥性肺炎の予防へ向けた生活習慣作りの提案
4.その他
- その他の高次脳機能障害(認知症も含む)の評価・訓練
- 個別機能訓練計画書の作成
- リハビリの実施記録
- 訓練教材の準備
- ケアマネージャーとの情報共有
施設によっては以下のような介護業務も行うことがあります。
- 送迎または送迎の添乗
- バイタル測定
- レクリエーションや食前体操の実施
- トイレや排泄、入浴の介助
病院とデイサービスのリハビリの違い
病院のリハビリテーション
医師の診断と指示のもとリハビリテーションを行います。機能回復を目指し短期集中的に行われ、言語聴覚士(ST)と医師や看護師が密に連携して進めていくのが特徴です。
20分1単位とし言語聴覚士自身がリハビリテーションを行っていきます。
デイサービスのリハビリテーション
医師の指示は無く既往歴などの詳細が分からないことが多いです。安全に日常生活を送ることを目指し、長期継続的に行われるのが特徴です。機能の回復ではなく、維持することに重きを置きます。
病院とのリハビリテーションと比べて、利用者様の置かれているステージも、リハビリをする目的もまったく異なるのでアプローチ方法も当然違います。
また、1回の訓練時間の定めは無く、機能訓練指導員の指示のもと、介護職員や看護師が訓練を実施し算定する仕組みもあります。
【メリット】STがデイサービスで働く良いところ
1.生活に寄り添った支援が出来る
病院で働いて居た頃には見えなかった、リアルな在宅生活が見えてきます。利用者それぞれのライフスタイルや住居環境、家族関係に合わせた支援をすることができます。
2.医療現場より精神的に穏やか
すでに状態が安定している利用者様がほとんどですので急変は少ないです。また、機能訓練指導員は人数が少なかったりあるいは一人職場になることが多く、他職種が絡んでくるような状況は多くないので、自分のペースで訓練をすすめることができプレッシャーが少ないです。
時間的にもゆとりがあり、利用者様の話をじっくり聞く余裕がある施設が多いです。
3.利用者さんと長期的に関わることができる
年単位でのお付き合いとなる事が多く、じっくり利用者様と向き合うことが出来ます。関わっていくうちに、利用者様ともご家族とも信頼関係を築くことができ、地域に寄り添い、貢献している実感を得ることが出来ます。
4.ワークライフバランスが取りやすい
施設にもよりますが、デイサービスの場合は日曜休みやお盆休み、年末年始休みのところが多いです。また、比較的有給も取りやすい環境の場合が多くプライベートとのバランスが取りやすいです。
実際に病院からデイサービスに転職した際に、一番『楽になった』と感じたのが、
「早く結果を出さなければ」
「上司に怒られないようにしっかりやらなければ」
「今日の単位数クリアしなければ」
といった、自分の技量を試されるようなプレッシャーから解放されたことです。
デイサービスにおいて、言語聴覚士は看護師と同じように『専門的な知識をもった頼れる人』というポジションになりやすいです。
それもある意味プレッシャーに感じる人も居るかもしれませんが大丈夫です。
嚥下や言語といった専門性の高い分野は、勉強されている介護福祉士さんでも適切な評価や判断は難しいものです。
特に嚥下に関してはリスクがありますから、専門的な立場からの助言は重宝されます。
あとは単純に、利用者様やご家族と仲良くなれることが多く、仕事中も楽しく過ごせた思い出があります。
【デメリット】転職前に知っておきたい注意点
1.専門職としてのやりがいを感じにくいことがある
前述にも述べたように、主に機能維持することを目標に訓練を行っていきます。しかし加齢に伴う機能低下は避けられません。いくら訓練をしても良くなっていく実感が得られず、やりがいやモチベーションが低下してしまうことがあります。
2.書類業務・加算・制度理解が必要
デイサービスにおける機能訓練指導員は、在籍人数が少ないことや一人職場になることが多いです。加算を算定していくために必要な書類の把握、記録方法、算定の仕方など、機能訓練指導員に一任されてしまうこともあるため、監査などにも対応できるよう正しい制度理解が必要です。
3.他職種との役割の曖昧さ
デイサービスで働く以上、『リハビリの仕事だけしてれば良い』ということはほとんどあり得ません。前述した通り、施設にもよりますが送迎を含めた介護業務、レクリエーションや排泄介助などの業務も行うことになると思います。介護業界の人手不足もあり、つい『何でも屋さん』になりやすいため、デイサービスに転職を考えている場合は施設選びには注意が必要です。
また、他に機能訓練指導員がいない場合、身体機能の評価なども求められる場合があるため、在籍している機能訓練指導員の数や職種は事前にチェックしておいた方が良いです。
私が実際に働いていたデイサービスでは、常勤の機能訓練指導員は私一人であったため、上記のようにリハビリ以外の業務や知っておかなければならない事の多さに戸惑いました。
デイサービスに向いているST・向いていないST
◎向いている人
- 利用者とゆっくり関わりたい
- 生活期リハビリに興味がある
- 医療現場の緊張感に疲れている
- 高齢者の方と関わることが好き
- 自分が主体となって働きたい
- プライベートとの両立を図りたい
△向いていない人
- 専門性を高めたい人
- 評価・治療に専念したい人
中には、生活期リハビリに興味がありそこでの専門性を深めていきたい人や、本当は急性期で働きたいけどワークライフバランスを保つためにデイサービスで働きたい、という人も居るかもしれません。
向いている・向いていないはどちらが良い・悪いではなく、あくまで傾向ですので、参考までに解釈してください。
失敗しないデイ転職のチェックポイント
1.機能訓練指導員の職種と在籍の有無
ゼロから自分で立ち上げていきたいのか、ベースが整ったうえで働きたいのか、個人の希望にもよります。しかし、もともと機能訓練指導員が複数在籍しているデイサービスには、リハビリへのモチベーションが高い利用者様が集まっている可能性もあります。初めての生活期リハに不安がある場合は、後者を選択した方が良いと思います。
しかし、STが在籍しているデイサービスは非常に少ないです。一人職場になることは覚悟しておいたほうが良いと思います。
また、施設のホームペーシには機能訓練指導員が在籍しているとされていても、それは看護師等が名義だけ置いている可能性もあるため注意が必要です。
2.個別リハにどれくらい時間がとれるか
自分のモチベーションを保つためにも介護業務との比重は明らかにしておいた方が良いです。
個別リハを行う時間や人数など、おおよその見当が付いていたほうが、働いてからのことをイメージしやすいと思います。
また、言語聴覚士は訓練内容によっては個室や集中しやすいスペースが必要な場合がありますね。それらの確保ができるのかもチェックしておくと良いでしょう。
3.加算の算定状況
まだ個別機能訓練加算を算定していないとなると、いままでリハビリは積極的に行われていない事が想像できます。また、これから算定するとなるとその準備から任される可能性もあり、負担が大きいかもしれません。そういった過程にも関わっていきたいのなら、むしろ学びが多そうですね。
4.送迎や介護業務は必要か、またどの程度か
少なからず介護業務は担うことになりますが、あとで『便利な何でも屋さん』にならないために、事前にどの程度の介護業務があるのか知っておく必要があります。
また、言語聴覚士としてのやりがいや専門性を守るためにも、自分の中で線引きすることも必要です。
例えば、
・送迎はしないけど添乗は家族との交流のチャンスなのでする
・入浴介助はしないけど脱衣補助は動作評価のチャンスなのでする
私はこれらのチェックがおろそかだったため、入職してから戸惑うことが多々ありました。実際に、想定していなかった送迎や入浴介助を任されたときは、正直「STなのに??」って思ってしまいました・・・。
デイサービスは施設によって全然違う
ここまでの説明で、デイサービスで働く言語聴覚士が少し見えてきたかと思います。しかし、デイサービスは施設によって驚くほど異なる点が多いです。前項のチェックポイント以外にも、
- 施設の雰囲気
- リハビリを重視しているか
- 機能訓練指導員の扱い
- どんな利用者様が多いか など
求人票だけでは分からないことばかりです。
実際、私はハローワークで案内を受けて入職したのですが、働き始めてから「聞いてないよ~」と思うことが多々ありました。
仮に質問があったとしても、面接の時は緊張でいっぱいで聞く余裕がなかったり、聞きにくいことだったりしますよね。
そんな時は、無料で登録できるリハ職専門の転職支援サイトでエージェントに相談するのがオススメです。
- 施設の内部事情や実情を教えてくれる
- 年収の交渉をしてくれる
- 見学や面接のアポイントメントを取ってくれる
- リハ職ならではの悩みに寄り添ってくれる
登録は無料ですし情報収集だけでもOKなので、登録しておいて損は無いです。
まとめ
デイサービスでの言語聴覚士の仕事は、訓練内容もSTの役割や在り方も、病院とはガラッと変わるでしょう。
働き方や環境が大きく変化しますが、合う人にとってはストレスが減り『働きやすくなった』と感じることが出来るのではないでしょうか。
しかし施設による差が大きいので、まずは自分の中のSTとしての価値観を整理すること、転職支援サイトに登録してどんな選択肢があるのか知ることからスタートしてみてください。
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saori


